大徳寺真珠庵・京都大学文学部古文書室の調査

一九七六年十一月十六日より十八日まで、京都大徳寺真珠庵に出張し、真珠庵文書の調査・撮影を行った。真珠庵文書の大部分は甲箱から癸箱までの十箱と以・呂・波・仁の四箱の計十四箱に整理されているが、今回はこれ以外の未調査の三箱を撮影した。この三箱には中世末より近世の種々の文書が含まれており、そこに明瞭な整理基準は存在していなかった。
 同月十九日、京都大学文学部古文書宝で、京都大学所蔵東大寺文書原本を閲覧するとともに、影写本「筒井英俊所蔵東大寺文書一、二」「東大寺文書六十四、六十五(本所架蔵第四回採訪欠本分)」の写真撮影を行なった。このうち「筒井英俊所蔵東大寺文書」は同一所蔵者の本所架蔵影写本(「筒井寛聖所蔵東大寺文書」「龍松院文書」)には見られない文書ばかり五〇点の影写本で、長承三年七月日の黒田新庄矢川・中村・夏見公畠取帳その他の文書を収めている。
                (稲垣泰彦・千々和到・保立道久・針生邦男)

『東京大学史料編纂所報』第12号